アニメ「魔法使いの嫁」の各話サブタイトルについてまとめています。
「これってどういう意味?」を知ると
「魔法使いの嫁」をもっと好きになるようなサブタイトルばかりです。
英語のフレーズだからと見過ごしてしまうには勿体ないくらい素敵。
心に留めておきたくなるような言葉に意訳してみました。
アニメ「魔法使いの嫁」のよさをもっともっと深めて貰えたら嬉しいです。
今回は 第10弾 第18話のタイトル和訳です。
「魔法使いの嫁」はアニメ作品が出会いです。
原作にまだ触れていないぶん理解の浅さはあるかもしれないけれど
各話ごとに最低3回は観返すほどに”好き”という気持ちは確か。
よろしければどうぞお付き合いください!
TVアニメ「魔法使いの嫁」公式サイト ©2017 ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会
- #18 Forgive and forget.
- サブタイトル「Forgive and forget.」の和訳と解説
- 「forgive」「forget」の語源が面白い
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹光と影、チセとエリアスとの境い目
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹大人びた幼きステラに教わること
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹言葉は交わせずとも行動が繋ぎとめるもの
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹「子供のようなエリアス」
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹許すということ
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹黒い女神の子供
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹チセとエリアス、親と子
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹無理はしない
- 「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹カルタフィルスが落とす新たな陰
- 〖ひとりごと〗続きます
- アニメ「魔法使いの嫁」を観るには
#18 Forgive and forget.
サブタイトル「Forgive and forget.」の和訳と解説
「許して 忘れよ」
日本語でいう「水に流す」という言い回しに近いです。
「水」には「消え去る」「清める」という意味が込められることが由来です。
いつまでも過去のことを根に持たずに
相手を許して忘れてしまいなさいという教え。
過ぎ去ったことは変えられないけれど
それとどう向き合うかは自分で変えられるという考え方に基づいています。
過去にあった問題や嫌なことなどをすべてなかったことにして忘れよ
恨み、辛み、妬み、嫉み、嫌み、僻み、やっかみ
何かに干渉し干渉されながら生きていく以上はこれらは避けては通れないもの。
自分のなかに芽生えるものを「相手を許さない」というところに結びつけてしまうと
こちら側もいつまでも同じ考えに囚われているということにもなります。
自分の心にあるわだかまりを周りにぶつけるのではなく
自分ごととしてどう向き合って消化していけるかが前に進むために大切なこと。
この第18話でも
チセとエリアスとでわかりやすく対極している形で綺麗に浮き彫りになっています。
エリアスは「許せない」「手放せない」、そして「縛って」しまう。
癇癪を起こすエリアスとそれに翻弄されるチセという物語の運びだけれど
チセにとっても大事な出来事。
彼女が自分のなかにあるわだかまりを「許す」お話でもあります。
エリアスもチセも、立場を入れ替えながらも、足並みは揃えて、前へ、前へ。
「forgive」「forget」の語源が面白い
「forgive」の「for-」は「完全に」という意味があります。
つまり、「forgive」=「完全に与える」と読むこともできます。
「許す」を「相手」ありきの言葉と捉えると
「相手の過ちを受け入れる」という自分から相手への想いがこもっているような言葉に感じられます。
「forget」の「for-」は「打ち消し」の意味合いをもちます。
「get=得る」の反対=「手放す」と読むと
本来の意味である「忘れる」という言葉が「心にあるわだかまりを手放す」と捉えることもできます。
「忘れる」を「自分」ありきの言葉と捉えると
心のなかにあるものを「自ら手放す」という前向きな言葉に思えます。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹光と影、チセとエリアスとの境い目
ステラには視えないものを、彼女を思って言わないほうがいいと心で呟くチセ。
陰に立ち何かを感じている様子ではあるけれど、何も言わないエリアス。
同じ「言わない」でも温度感が違う。
チセは相手を想う気持ち、エリアスは自分のなかで募らせる気持ちからそうさせている。
ここは、2人の間にある隙間のようなものを感じます。
陽の光で満ちた明るく温かい部屋で、チセとステラは笑い声を響かせお喋り。
陰に満ちた暗く冷えた部屋で、エリアスはたった1人光に背を向ける。
そしてここでもまた、先に感じたような「隙間」を広げさせているような。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹大人びた幼きステラに教わること
「相手と自分が違うのは当たり前。
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 ステラのセリフより
やりたいことが違うのも当たり前。
分かり合うためにじゃなく 話し合うために言葉はあるのよ」
10歳のステラと16歳のチセ。
歳の差は5つ以上もあれど、その差にお互いに戸惑うほど境い目が曖昧に感じられる様子。
「違うのは当たり前」
魔法使いであるチセと、ごく普通の人間であるステラ。
属性がまったく違っていても
歳の差の曖昧さが2人の距離感を馴染みよく、そして心地よくも感じさせる。
第17話ではチセがステラを救う側だったけれど
今回の第18話ではステラがチセに与える側。
チセが受け取る対価以上に身の犠牲を払ったように
ステラは約束通りの「お菓子」以上のもの―
「自分と他者の在り方」「言葉が存在する意味」
生きやすくするための教えを授ける。
「じゃあ練習ね。でもわがままは駄目よ」
「言いたいことは言うって決めたんだけど、なかなかうまく出来なくて…」
「私はすごくわがままだよ」
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 羽鳥チセ、ステラのセリフより
エリアスは暗い部屋で2人のこの会話を聞いている。
でもきっと話している内容についてはうわの空。
「2人が楽しそうに話している」ことにだけに意識が向いてしまっている。
だから、言葉を閉じ込めたまま。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹言葉は交わせずとも行動が繋ぎとめるもの
「お前もあいつも変に素直じゃない」
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 ルツのセリフより
「『言いたいことを言え』―あいつは口よりも手や足がお喋りなんだ」
これまで自分の気持ちを閉じ込めて生きてきたチセは、素直にそれを外に出すのが苦手。
気持ちというもの自体に触れてこなかったエリアスは、その発し方がわからない。
言葉を交わし合うのはチセもエアリスも苦手ということ。
気持ちの不安定さがそうさせるのか
黙って家を出てしまうエリアスは二足歩行の形態をとれなくなっている。
逃げるエリアスにチセも戸惑う。
「やるべきことをやるための姿に」
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 羽鳥チセのセリフより
「捕まえなきゃ―これが私の望みだ」
人狼の毛皮を纏い、狼の姿を借りるチセ。
エリアスを捉えるための脚の速さを得ると同時に
「人の望みに向かわせる代物」の力を借りる。
このとき自分自身の望みが何かを確かに心に感じたはず。
「今度はちゃんと狼」というエリアスの言葉には
狼である意味を考えさせられる。
かつてエリアスの元を離れた好奇心に従う狐のチセは、エリアスが追いつけるだけの余裕を残して駆けていった。
今回の彼女は、追いつけない距離を乗り越えるための狼の脚で、すでに欠かせない存在となったエリアスを逃そうとしない。
「一匹狼」という言葉はあるけれど
狼は孤独を愛するというわけではないのです。
これは習性の一部を切り取った表現。
実は仲間との絆を大切にする社交的な動物なんだって。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹「子供のようなエリアス」
エリアスを捉えようと追いついたチセは「外ではない」ところに囚われる。
「よく分からない」と言うエリアスはチセを縛り、噛みつく。
言葉にできないもどかしさが、行動に表れている。
「思った以上に自分のことをわかっていないんだ」
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 羽鳥チセのセリフより
「置いて行かれると思った。
エリアスも同じだったのかもしれない。
それぐらい想ってくれているんだと―私は自惚れてもいいのかな」
言葉を交わせずとも、チセはエリアスの行動の背景に想いを馳せることはできる。
苦手とするものが近しい故にできてしまった隙間は
エリアスが感じた感情を「分かる」ことができるチセの心が埋めるきっかけになる。
言葉が話し合うためのものに過ぎなくても
違うもの同士を繋げるもの、分かり合うためのものはあるということの証明。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹許すということ
母親がどうしていたかを思い返すチセ。
「分からない」ままに癇癪まがいの行動で彼女を拘束するエリアスに言葉をかける。
「エリアスが感じているのはたぶん―『嫉妬』というものだと思います。
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 羽鳥チセのセリフより
『羨ましい』とか『どうして私だけ』とか。
でも誰かを、何かを羨んでも、恨んだりしても、苦しいままでどうにもならない。
それは誰かにぶつけるものじゃないんです。
自分の中で折り合いをつけなきゃ」
「(そんなこと言って…自分が1番羨んでいる癖に)」
ステラ一家を遠目に眺めながら感じていたのは「友人」を得た温かみだけではなかった。
そこにあったのは”欠け”のひとつもない、ごく普通の「家族」を見て羨む気持ち。
エリアスを諭していながら
チセ自身も家族を失っているということ―既に無くしてしまったもの、自分には無いものに拘っていることを自覚する。
そんな彼女はこのとき「外ではない」内側に閉じ込められている。
過ぎ去ったことに囚われている限り、「自由に飛ぶ」ことはできない。
「それは―それは駄目だ。今は嫌だ!」
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 羽鳥チセのセリフより
「forgive and forget.」
過ぎ去ったことに残るわだかまりを自分自身の中で「許す」―「折り合いをつける」ことが
前を向き自由に生きる力に繋がる。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹黒い女神の子供
ユールの支度をしていたときに出くわす黒い女神の子供の助けによって
ルツは途絶えた繋がりを見つける。
巡り巡っている。
教えが次へ次へと受け継がれるように、恩も次へ次へと紡がれていく。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹チセとエリアス、親と子
言葉を交わさないことによってできてしまった溝は
チセとエリアスとが生んだもの。
チセはエリアスの欠けている一面を見出して
鏡を通すように自分の欠けている一面をも見つめて受け入れる。
エリアスを許すと同時に自分の中のわだかまりをも許し
共に前へと歩を進めていく。
ここには陽の光もなければ影もない、月夜の空間。
「帰ったら話しましょ」
「話す?」
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 羽鳥チセ、エリアス・エインズワースのセリフより
ステラの教えを今度はチセからエリアスに伝え
言葉を交わすことで溝を埋める。
「この間まで父親と娘みたいだったのに
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 ルツのセリフより
今度は母親と子供みたいだ」
それぞれに与えられた役割は1つではない。
立場を2人で混ぜこぜにしながら、与えて与えられて、埋め合わせていく。
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹無理はしない
エリアスが眠ったまま目を覚まさない。
それはチセが唄った子守唄によるものと後に判明する。
彼女が魔力を使おうという意志がなくとも
子守唄はただの子守唄にはならない。
「話そう」と思っても話せない、
「魔力使おう」と思っていなくても魔力は宿ってしまう。
想いとは裏腹に物事が動いていくのは、自分と他人との関係性に限ったことではない。
「俺は幸福だよ。1人で死ぬことを考えなくていい。
アニメ『魔法使いの嫁』第18話 のデイビット・バーレイより
でもアンジーは、俺たちの娘は、終わりがどこかを知ることもなく誰かを見送り続けるんだ。
笑い合える次の朝が いつまで続くか考えるのが辛いよ」
「でも君は、俺と違ってうまくいけば付いていける。
だからさ、俺たち無理も無茶もなるべくしないでさ、出来る限り 長生きしようよ」
デイビットも、自身とアンジーや娘との違いを感じている。
1人で迎えないであろう終わりを「幸福」と言いながら、家族と終わりが一緒ではない先を考えるのは「辛い」と言う。
きっと「幸せ」と「不安」は表と裏のようなもの。
「相手と自分が違うのは当たり前」
ステラが言ったことがここにも通ずる。
デイビットとチセもやっぱり当たり前のように違う。
大人と子供であること、男性と女性であること、人間と魔法使いであること。
辿り着くところも違えど
それでもこうして言葉を交わして
「無理はしない」という道筋を同じに照らすこともできる。
デイビット自身の「無理や無茶」はこれが度を過ぎると
「幸福な今」に目が向けられなくなってしまうということなのかな
「魔法使いの嫁」第18話の感想▸▹カルタフィルスが落とす新たな陰
カルタフィルスが登場するとき
「forgive and forget.」
というフレーズをフィルターを彼にかざして観たくなる。
許して忘れることができずに生きてしまった成れの果てと言ったところかな。
過去に囚われ 自分の中で消化しきれずに膨らみ続けたものが他者にぶつけられるのは一体何なのか。
それにしても
久しぶりの登場となるリンデルさんの表情が堪らないのです。
〖ひとりごと〗続きます
どうにもセンスがないことに悶々とする今日この頃。
時間をかけて想いを込めて
じっくり磨いていこうと心にぼんやりと抱いています。
近頃繰り返し観た映画「アナログ」が私のなかにしっかりと焼き付いた気がしています。
ところで
文末が統一されていなかったところに「私」が滲み出ていたのですが
「です」「ます」をめいっぱい減らしたことでなんだか文章がかっこよくなることに気付いた。
でも「私」もときどき滲ませたくなるのです。
ねえねえそれにしても「魔法使いの嫁 SEASON2」の2クール目がよいよね。
今朝 第17話を観ました。
自分のなかで腑に落ちるところを見つけてはうんうん唸りながら観ているよ。
これって「観る」視点が変わってきたと思ってもよいのかなあ。
アニメ「魔法使いの嫁」を観るには
よいものはよい。「魔法使いの嫁」はよい。
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