アニメ「魔法使いの嫁」の各話サブタイトルについてまとめています。
「これってどういう意味?」を知ると
「魔法使いの嫁」をもっと好きになるようなサブタイトルばかりです。
英語のフレーズだからと見過ごしてしまうには勿体ないくらい素敵。
心に留めておきたくなるような言葉に意訳してみました。
アニメ「魔法使いの嫁」のよさをもっともっと深めて貰えたら嬉しいです。
今回は 第11弾 第19話のタイトル和訳です。
「魔法使いの嫁」はアニメ作品が出会いです。
原作にまだ触れていないぶん理解の浅さはあるかもしれないけれど
各話ごとに最低3回は観返すほどに”好き”という気持ちは確か。
よろしければどうぞお付き合いください!
TVアニメ「魔法使いの嫁」公式サイト ©2017 ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会
- #19 Any port in a storm.
- サブタイトル「Any port in a storm.」の和訳と解説
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹チセの居場所
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹アリスからレンフレッドへのクリスマスプレゼント
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹夢と現、カルタフィルスまたの名はヨセフ
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹チセが変わればエリアスも変わる
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹「変わるもの」「変わらないもの」Case.1 エリアスの場合
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹「変わるもの」「変わらないもの」Case.2 チセの場合
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹チセの手元にあるお金が証明する彼女の所在
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.1 チセの場合
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹言葉は話すためにあるもの
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹依存するチセ、依存させるエリアス
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.2 レンフレッドの場合
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.3 アリスの場合
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.4 リンデルの場合
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹見知らぬ女性との交渉
- 「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹望まぬ変化、変わらない望み
- 〖ひとりごと〗続きます
- アニメ「魔法使いの嫁」を観るには
#19 Any port in a storm.
サブタイトル「Any port in a storm.」の和訳と解説
「嵐のなかではどの港でも停泊する」
「嵐のなかではどんな港も厭わない」
と意訳したら言い回しがかっこいいね
「Take any port in a storm.」の「take」が省略されたフレーズです。
船が嵐に見舞われたときは港を選んでいる余裕はない。
荒れ狂う海に漂うままに沈んでしまうよりも、本来なら避けるべき港であろうとも寄港できればそれ自体がありがいものです。
「Any port in a storm.」というフレーズを調べると
「刑事コロンボ」という作品のサブタイトルにも絡んでいるようです。
どうやら「ポートワイン」とかけているらしい…お洒落
差し迫った困難においては 善し悪し問わず頼らざるを得ない
日本語でいうところの
「窮余一策」
「せめてもの救い」
「溺れる者は藁をもつかむ」「藁にも縋る」
に近いです。
余裕のあるときには選ばないであろうものですら、困難に見舞われたときや差し迫った状況には頼りたくなる、という背景からきています。
本来は自分にとって避けるべき選択でもそれが最善になりうる状況もある。
第19話では物語の運びとしてサブタイトルに繋がるシーンが多いです。
例えば、チセは『カルタフィルスはロンドンにいる』と言う。
それは夢で彼に会ったことが彼女にそう思わせている。
夢は根拠というには弱く、彼女にとっても『勘』と言わざるを得ない。
カレッジ側からしても夢は夢でしかないけれど
チセの勘を頼りにし、それをもとに考えを行動に移します。
彼女が『貴重な存在』であることが夢をただの夢とは思わせないのだろうとも思います。
もうひとつ、第19話ででてくる『船』というワードで深堀りするならば
チセがエリアスと出会った境遇について考えさせられるようなサブタイトルでもあります。
「Any port in a storm.」
チセの辿り着いた港は、彼女の歩む道は―。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹チセの居場所
チセが日本から遠く離れた地で暮らしていくための手続きをしているレンフレッドたち。
生まれ育った地が必ずしも「帰るべき場所」ではない。
「資質や意欲のある子は財産だろう」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 ミハイル・レンフレッドのセリフより
レンフレッドの言葉からは
チセの「夜の愛し仔」という素質だけを買っているわけではないのが感じられる。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹アリスからレンフレッドへのクリスマスプレゼント
レンフレッドの目的はチセの手続きだけではない。
アリスからのクリスマスプレゼント―お酒を持ち込んでいる。
ちらっと映るボトルをもとに調べたところ
イギリスのウイスキー「ジョニーウォーカー」の「黒ラベル」がモデルかな。
熟成させた年数「18」は後のシーンで明らかになるアリスの年齢と同じ。にやにや
「世紀をまたいだ漂流の魔術師だろう?不老不死は永遠のテーマさ」
「くだらん夢だ」
「潔癖だなあ。優秀だけどそういうとこ敵つくるぞ」
「味方なんぞ数人いれば十分だ」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 トーリー・イニス、ミハイル・レンフレッドのセリフより
レンフレッドの片腕を奪った元凶であるカルタフィルスが話題にのぼる。
いつもの彼からは「軽々しさのない真面目な先生」という印象を受けるけれど
お酒が入ると「素」が出てしまう様子。
レンフレッド本人が言うように
片腕を失っていたり敵に奪われるような隙をつかれたりと 『優秀』には足らぬ欠けているものがある。
自分の足りないところを自分への厳しさで補おうという「振る舞い」でしかないけれど
同時に”外側”は変えようがあるということでもある。
泣き上戸になりながら”内側”を晒すことを許したこのカレッジの面々は『数人の味方』。
アリスの前で飲まないのは『優秀』でありたいからかな。
彼女は「大人がお酒を嗜む」というレンフレッドの姿を想像しながら
これをクリスマスプレゼントに選んだのだとは思うのだけれど。
はあ……。にやにや
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹夢と現、カルタフィルスまたの名はヨセフ
体の重みもない、咳も出ない、温度などの感覚もない―
チセは「夢」のなかにいると恐らく感じている。
『痛い』
感覚があるということは、カルタフィルスは「現実」にいる。
カルタフィルスは 実体のない存在としてそこにいるチセを見て
「幽霊」と表現し 『行くべきところに』と促す。
『そうじゃなきゃおかしいよね、こんな……』
自身のことを言っているのだろうかと思わせる口振り。
きっと「現実に留まるべきではない」という「居場所」に齟齬を感じている。
「カルタフィルス=呪われた名」
「ヨセフ=もう1つの名」
カルタフィルスだと思っていた存在が違う「名」で呪われていたことが発覚する。
「居場所」と「名前」、いずれも”外側”の歪み。
その”内側”が求めるのは「許し」と「救い」。
目覚めたチセは、夢と現の境い目がなかったことを悟る。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹チセが変わればエリアスも変わる
『少し変わったか?』というレンフレッドの心の声。
これはエリアスに向けての言葉か、はたまたチセとエリアスという夫婦に対しての言葉か。
チセは交渉の仕方を覚えたようです。
エリアスに拘束されて感じた苦しみや痛みを話に持ち出し
カレッジの者たちのドラゴン探しに力を貸すことを許してもらう。
エリアスの行動にはチセの意志も及ぶようになっている。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹「変わるもの」「変わらないもの」Case.1 エリアスの場合
競売所は魔法も魔術も禁じられているという。
そんななかでエリアスはいつもとは異なる人の容姿をとっている。
『丸ごと組み替えた』と言う彼は “外側”だけが「変わって」いる。
挑発的な笑みを見せたり驚いて目を丸くしたり、表情にも「変化」が目立つ。
『あの子はカレッジには行かない。だから言う必要も無い』
『あの子は僕のものだよ。チセはそう望んでくれてる』
それでも言い分は「変わらない」。
寧ろいつものエリアス以上に
『チセは自分のものだ』という”内側”が色濃く表れているような。
独占欲めいたものの顕著さは
チセと面と向かっていない状況もそうさせているのかな
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹「変わるもの」「変わらないもの」Case.2 チセの場合
セスから『雰囲気が変わった』『背丈も伸びた』と言われるチセ。
それは「変化」としてはわかりやすい”外側”の違いだというのはエリアスと同様。
「変わったところも、変わってないところもありますよ」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 羽鳥チセのセリフより
「肝心要の部分はそうそう変わりません。
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 セス・ノエルのセリフより
あなたは良くも悪くも頑固ですしね」
セスは『肝心要』という言葉の通り「本当に大切なもの」は「変わらない」と言う。
チセが自身で思うところの「変わってないところ」はどこか後ろ向きに感じているかのような印象を受ける。
私自身も、歳とともに心や頭がそれに見合ったものになっているかと問われれば……
「変わらない」ものが「心」のような”内側”にあるものとするならば
それは「個」であるためには欠かせないもの。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹チセの手元にあるお金が証明する彼女の所在
セスは、商品でもあり出品者でもあったチセに 売上金の小切手帳を手渡す。
チセの手元にあるのは、エリアスに買われた存在であることを証明するものでもある。
ここで彼女が気付くのは、お金の出所は買い手であるエリアスだということ。
エリアスのお金だったものがチセのお金になったと同時に
チセはエリアスのものであるということを傍から見ても意識せざるを得ない。
けれどチセの存在は間違いなくチセのもの。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.1 チセの場合
『家にいないと寂しがる人がいるので』
カレッジへのお誘いに冷たい声と表情で拒否を示すチセ。
それは チセ自身がどうしたいのかではなく
「エリアスが」どうかという基準で決めている。
もしも「エリアスが」カレッジへの誘いがあることを持ち掛けたとしたら
チセは行くと言うのかな。
ここのチセ、表情と声の冷たさがエリアスに似ている感じがして何気に好きです
夫婦だね
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹言葉は話すためにあるもの
「何か言いたいなら、口に出してくれないか?」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 エリアス・エインズワースのセリフより
『言葉は話すためにある』
ステラからチセへ、チセからエリアスに伝わる教えが活きている。(第18話より)
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹依存するチセ、依存させるエリアス
「今は良くても、依存先をお前に限定して その先どれだけ成長できる」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 ミハイル・レンフレッドのセリフより
かつてアンジェリカがチセに言った言葉が思い出されるね
(第9話)
今度はチセの「依存」先であるエリアスに向けられた言葉。
エリアスはチセの物分かりのよさを知ったうえで都合よく思っているというのは
これまでの彼の発言からは明らかなこと。
チセは依存する側であることに気付かない振りをしていたけれど
エリアスは依存される側であることに開き直れるほどに強い自覚がある。
憶測とは言え、レンフレッドの道を「決める」かのような言い方をしてしまう彼は 「依存される」というよりも「依存させている」に近い。
変えるべくはチセだけではなくエリアスにもある。
もちろんそれは”外側”のお話ではない。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.2 レンフレッドの場合
「それを僕らが語るのかい?
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 エリアス・エインズワースのセリフより
行く当てのないものに、知識の金庫を背負わせて、先へ運ぶ船へ無理やり乗せる。
道を提示したと見せかけて、それしかないと思わせる。
僕らは、そう変わりないだろう?」
「もしかして君、本当は魔術師になんか なりたくなかったんじゃないのかい?
誰かに強制でも―」「私の道を勝手に決めるな」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 エリアス・エインズワース、ミハイル・レンフレッドのセリフより
レンフレッドの過去の描写がちらと映る。
彼には「Any port in a storm.」に通ずる過去があり
魔術師として生きる道にあることを窺わせる。
「生物は変わる。望もうが望むまいが」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 ミハイル・レンフレッドのセリフより
『肝心要の部分はそうそう変わらない』というセスに対し
『望みの有無に関わらず変わる』というレンフレッド。
彼自身が道を限られたと思っているからこそ
チセの道をも決めようとしているエリアスに思うところがあるのかな。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.3 アリスの場合
「線路を走るみたいに仕向けられてもさ、結局自分の道しか走れない奴はごまんといるんだ」
「君は自分の道を走ってる?」
「自分が選んで走ったところに道ができるんですよ」
アニメ『魔法使いの嫁』第19話 アリス、アドルフ・ストラウドのセリフより
ここのアリス堪らなく好き
ここで再びサブタイトルを思い出す。
「Any port in a storm.」
チセはエリアスに、アリスはレンフレッドに、
それぞれ縋った者を師として学んでいくのを自分の道としている。
エリアスの言葉に沿って チセを「船」の乗り手とするならば
アリスは「車両」の乗り手のようなもの。
船は辿ってきた道筋は見えない―自分の道に意識は向けられない。
車両は走ったところに轍が残る―自分の道を認識できる。
自分の生きてきた「これまで」を見据えられるアリスはきっと「自分がどうしたいか」という「これから」を見る力もある。
ではチセはというと、船が良いか悪いかということではなく 舵をどう切るか次第。
アリスの『あの骨 わかっちゃいない』からもそう期待せざるを得ない。
辿ってきた道がどうであれ、行く先は自由に決めることはできるのだから。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹それぞれの「道」 Case.4 リンデルの場合
『あそこに縛られ続ける 彼のためにも』
というアドルフの言葉。
リンデルさんは今、師ラハブの元を離れてドラゴンの国で暮らしている。
彼もまた長い時を生きる者であり
かつて 魔法使いであることを「呪い」と表現したこともある。(第10話より)
カルタフィルスと共通項はあれど『「呪い」はどう受け止めるか』。
ラハブの示した道を見据え、ドラゴンの国に縛られようとも、それはきっとリンデルさん自身が決めた道。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹見知らぬ女性との交渉
『あなたにとって都合の良い女』
とチセに対し自称する見知らぬ女性。
素性が知れないといえども助力を乞うところはサブタイトル「Any port in a storm.」に通ずる。
「魔法使いの嫁」19話の感想▸▹望まぬ変化、変わらない望み
ドラゴンの声が聞こえるチセ。
カレッジの者たちには当然聞こえない。
『帰りたがっている』
『怖がってるし、すごく嫌がってる』
他者によって姿をいじられ、居場所も元居たところとは違う。
望まずして”外側”を変えられても、”内側”にある望みは変わらない。
声を聞いて涙するチセにエリアスも驚きを隠せない。
『大丈夫、それは君の感情じゃない』
『引っ張られなくていい』
涙の理由はドラゴンの心にある感情。
それでもチセが涙を流せば
エリアスはきっと彼女の”内側”を考えるきっかけになる。
エリアスが決めた道にチセを導くことが望まぬ変化に繋がるとしたら
彼女の心にある「変わらない」ものは果たして―。
「変わらない」ものとともに「変えていく」道であれ。
〖ひとりごと〗続きます
難しかった……というよりも自分で小難しくしているような。
たくさん詰まった良さを片っ端から触れようとしてはどつぼに嵌っています。
どうやら私は言葉を知らず言語化も不慣れなようです。
いや知ってはいたのですが。
でもチセやエリアスたちとこうして学んでいくんだ。
難しくても、時間がかかっても、よいお話のよさに触れるのは楽しいことです。
投稿してから気付いたのですが「感想」の見出しがずらっと並んでいてぎょっとしたので数えてみたら15個もあった。
書きすぎか。
それはそうと「魔法使いの嫁 SEASON2」の第18話を観ました。
フィロメラの「呪い」のお話。
空っぽは苦しい。
リアンは鈍くてもフィロメラであることには感づく。よき。
黒い女神と冥府の鹿がまた出てくるとは思わなんだ……喋ってた。
ユールの時期が再び巡ってきたんですね。
アニメ「魔法使いの嫁」を観るには
よいものはよい。「魔法使いの嫁」はよい。
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