アニメ「魔法使いの嫁」の各話サブタイトルについてまとめています。
「これってどういう意味?」を知ると
「魔法使いの嫁」をもっと好きになるようなサブタイトルばかりです。
英語のフレーズだからと見過ごしてしまうには勿体ないくらい素敵。
心に留めておきたくなるような言葉に意訳してみました。
アニメ「魔法使いの嫁」のよさをもっともっと深めて貰えたら嬉しいです。
今回は 第7弾 第15話のタイトル和訳です。
「魔法使いの嫁」はアニメ作品が出会いです。
原作にまだ触れていないぶん理解の浅さはあるかもしれないけれど
各話ごとに最低3回は観返すほどに”好き”という気持ちは確か。
よろしければどうぞお付き合いください!
TVアニメ「魔法使いの嫁」公式サイト ©2017 ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会
#15 There is no place like home.
サブタイトル「There is no place like home.」の和訳と解説
「家のような場所は存在しない」
「There is no place like home.」という表現は
映画「オズの魔法使い」ででてくる言い回しのようです。
「no」と強く否定する単語が使われていることから
「There is no place」という表現には「他にこの世には存在しない」というニュアンスが込められています。
「home」=「家」がどれほどよいところなのかを間接的に強く感じさせてくれるサブタイトル。
我が家に勝るところはない
第13話のサブタイトルに近いね
第13話、第15話と あえて同様の言い回しをサブタイトルに採用しているところに
チセに「帰るべき場所」ができたことの意味の大きさを感じさせます。
ただし 今回の第15話は家の守り人であるシルキーから視る「家」を物語る回でもあります。
それにしても、「チセが家に帰る」という描写を経て物語の一区切りがつくのが毎度のこと素敵。
「魔法使いの嫁」第15話の感想▸▹妖精の国へ
前話の終盤にて、ジョエルとリャナンシーのために魔法を使った代償として深く体に傷を負ったチセ。
そんな彼女を癒すためエリアスは妖精の国を訪れることを心に決めます。
そこはどうやら「時の流れが遅い」らしい。
「妖精の国」はかつてのチセに因縁のある場所。
妖精に招かれるもエリアスが引き留め、チセもまた妖精の導きを拒んだ場所。
エリアスはそんな場所へ赴くことを「おかしなことだ」とぼやき 躊躇いも見せています。
物語を見届ける側としては 今回の妖精の国への訪問は嫌なものを感じない自然な流れ。
道中のきらきらした洞窟は「こんなところへ行ってみたい」が詰まっている。
ここの描写は1分間もないくらいなのですが、きらきらな洞窟に既に感動です。わくわく。
「魔法使いの嫁」第15話の感想▸▹「人間」と「妖精」の混在
今回訪れたのは「蟻塚」という妖精の国の1つ。
そこで新たな人ならざる者と出会います。
それがシャノンとシャナハンという混じり気のある夫婦。
いろいろな種族と出会える世界観よき
2人は「人間」と「妖精」という異なる種がお互いに相反する世界で育ち、元々のそれではない姿形に変えて「妖精の国」で暮らしている。
シャナハンの容姿は、人間でありながら長らく妖精の国で暮らしたことによる ある種の産物。
「人の世は心に毒よ。
アニメ『魔法使いの嫁』第15話 ティターニアのセリフより
心に溜まる毒はいつか体も冒していくもの」
現実でも同じこと
人の世には心を毒するものが多いもの
チセの身を案じる思いから
彼女が”妖精の側”に近いことをティターニアはエリアスに忠告します。
人間だったシャナハンがまるきり妖精の国に溶け込むような容姿をしているのに対して、
チセは人間として生まれながら”妖精の側”の素質を備えています。
シャナハンの人生は少なからずチセの新たな知見になったはず。
チセは人ならざるものとしての素質をもつが故に
違和感を感じながら「人の世」で暮らしてきたからね。
「魔法使いの嫁」第15話の感想▸▹エリアスの望み
「僕は―人間の心はまだよく分からないけれど、知りたいとは思ってる」
「君たちはいつもどこかで僕のことを憐れんだり嘲笑っているだろう―僕はそれを望んでない」
「僕を恐れるのは人間たちだけど、僕を受け入れたのも いつだって人間だった。
アニメ『魔法使いの嫁』第15話 エリアス・エインズワースのセリフより
僕はあの子に、人間のまま生きていて欲しい」
チセが傷つく様子を目の前で幾度となく見てきたから
ティターニアの助言もひとつの正解の道だと捉えたうえでの言葉だと思います。
人間として生きてきたチセに、エリアスは大きな意味を感じている。
出会いを振り返れば、エリアスがチセを受け入れる側だったけれど
生活を共にしていくなかで エリアスもまた人間としてのチセに受け入れられてもいた。
ここのエリアスは
自分が望まないものがなんなのかを しっかりと自分の言葉で語っているのが好きです。
分からないという事実を見据えて、なおかつ知ろうという意志も表明している。
自分の望まないもの、望んでいること
分からないこと、知りたいこと
私も言葉にできたらいいなと思ったよ
「魔法使いの嫁」第15話の感想▸▹生きたいという意志の力
唐突に、シャノンはチセの首に手をかける。
ティターニアの言う「体を冒す」行為にまで踏み込むのが許されるのは妖精の国だから。
チセの毒された心が体の傷を癒えさせない事実を見抜いたうえでの医者としての治療行為。
他者の手によって生から遠ざけられることをチセはやはりまだ容易く受け入れてしまう。
息ができないことすらも流れのままに受け入れ水の底にただただ沈んでいく。
水の底でチセの母が彼女の首に手をかける描写―
過去の記憶がチセの首の枷となり、彼女がまだ”呪い”に囚われていることを暗喩している。
「だから、俯かなくていいよ。
アニメ『魔法使いの嫁』第15話 エリアスのセリフより
背筋を伸ばして、しっかり前を見るんだ」
それでも 今のチセには エリアスがいて 帰るべきところがある。
“意志”をもつには十分。
チセは抗う力を見せる。初めて見る表情でした。
死を流れのままに受け入れるというのはチセの望まないこと。
強く望まないことを突き詰めるということは
望みをもつことにも繋がるね
「生き物の心―意志は、時に何よりも強い力になる。
アニメ『魔法使いの嫁』第15話 シャノンのセリフより
『生きたい』と思えば、死の淵からも生き返ったりする。
特に、“こちら側”ではそれが顕著でね」
「だけど、あなたは死ぬほどの血を流しても そんな気持ちが欠片もなかった。
だから、あなたの傷はふさがらない。
でも、あなたは 今 抵抗したでしょう?」
「私は医者だから、あなたがどんなに生きたくなくても あなたを生かす。
生きて欲しいから」
チセの塞がらない傷を見たシャノンは
チセの心に負った傷―呪いがそうさせているのだと悟っていたようです。
生きたいという意志が死に抗う力になったとき、チセの傷は塞がっていた。
「魔法使いの嫁」で描かれる変化というのはとても心地よくて腑に落ちます。
「魔法使いの嫁」第15話の感想▸▹バンシーからシルキーへ
物語の後半ではシルキーの過去が描かれています。
サブタイトルの示す「home=家」に意味を持たせる物語。
かつての彼女はどこか色褪せているような印象を受けます。
「バンシー」と呼ばれる妖精だったようです。
アイルランドでは「死の近い人の家に現れ、死を予見しその人を想って泣く妖精」と言い伝えられています。
若くて美しい女性、という容姿をしているようです。
色を失ったような印象があるけれど、かつてのシルキーの容姿ともイメージがぴったりと思う。
死をもたらす存在と勘違いされることが多いみたい
近いうちに絶えてしまう命を察知してしまうばかりに悲しんでいるだけなんだよね…
人気の欠片もなく朽ち果てた家の前で泣いている様子のバンシー。
泣きはらしたその瞳は赤く、泣く声も枯らすほどにつらい思いをしていたことが伺える。
「こんなとこいないでどこか行ったら?
アニメ『魔法使いの嫁』第15話 リャナンシーのセリフより
あんたの声を聞いてくれる家族はもういないんだから」
こんな助言をするかつてのリャナンシーもまた
ジョエルを失った家に残ることを選んでいる…なんという…
彷徨いながら「もっとみんなの側にいたい」と願う声を吐露するバンシー。
この「小さき者」の声を逃さなかったスプリガンが彼女を救う。
「お前を照らす灯りがもうないのならば、今度はお前が灯りを守ればいい」
アニメ『魔法使いの嫁』第15話 スプリガンのセリフより
容姿はバンシーとしてのそれではなく、シルキーとしてのそれに変える。
「シルキー」も北欧で言い伝えられる妖精のようです。
名の由来は「シルク=絹」の衣服をまとった容姿からきているんだそう。
「家に棲みついて家事や世話をしてくれる妖精」と言い伝えられています。
バンシーやシルキーと同様、
リャナンシーも実際に北欧で言い伝えられている妖精がモデルだったようです
何気なく観ていたアニメが細い糸のようなもので現実の伝承とリンクする感じがたまらないのです
彼女の変貌は バンシーとして生きていた彼女が
それを”望んでいない”ことを声にしたことがきっときっかけになっている。
種すらも変えるきっかけをつくる。
望まないことも望んでいることも
自分で強く願って言葉にすれば それは導きになる。
エリアスがティターニアに伝えたこともまた同様
望まないこと、望んでいることが何かを動かすことに繋がることを予感させます。
シャノン、シャナハン夫婦の心や容姿の変貌は境遇がそうさせたもの
バンシーからシルキーへの変貌は彼女自身の願いからくるもの
チセとエリアスは―
「魔法使いの嫁」第15話の感想▸▹時の流れの違いが生む「ただいま」の重み
チセたちとシルキーとでは それぞれ時の流れが違う場所で過ごしていた。
チセたちにとってはほんの一時でも
シルキーにとっては季節を巡るほどの長い時、秋を越して冬を迎えている。
その間ずっと、家の灯りを絶やすことなくチセたちの帰る場所を守り
彼女たちが戻ってくるを待っていたんだよね。
「ただいま」の重み、冬の寒さがより温かみを感じさせているのが本当に素敵
〖ひとりごと〗続きます
1話分で書きすぎでは?
いつも数話分をひと記事にまとめていたのですが
「記事投稿したぞ…!」という達成感を感じたいがために投稿しちゃいました。
文字数もあるしね。
文章を書くこと自体もそうなのですが
頭のなかの「よい!」「好き!」「素敵!」を感想としてまとめるというのがなかなかうまくいかず
記事がいつまで経っても完成しないもどかしさと闘っています。
「魔法使いの嫁 SEASON2」の2クール目が始まりましたね。
番組表に「魔法使いの嫁」を見つけたときも
録画一覧に「魔法使いの嫁」があるのを確認したときもそれはそれは大喜びだったよ。
今後アイザックが活躍していきそうでわくわく。目を付けた。
アニメ「魔法使いの嫁」を観るには
よいものはよい。「魔法使いの嫁」はよい。
本ページの情報は2023年11月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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